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F4241 ウリキリ!光輝燦然 K18無垢0.57ctトリリアントダイヤ婚約ペンダント 1.19G 金剛不壊の誓い 23.02x6.31mm

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Auction ID: 1190061494
Original Japanese name: F4241 ウリキリ!光輝燦然 K18無垢0.57ctトリリアントダイヤ婚約ペンダント 1.19G 金剛不壊の誓い 23.02x6.31mm
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Item Description

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【ヤフオク小説:不完全なる器の輝き】


ご入札をご検討いただき、誠にありがとうございます。
これは単なる宝飾品ではございません。一つの物語であり、哲学であり、これから人生の荒波に漕ぎ出す、すべての勇敢なる魂に捧げる護符(アミュレット)でございます。
長文となりますが、このジュエリーが宿す本当の価値をご理解いただくため、しばし私の拙い筆にお付き合いいただければ幸いです。

鎌倉の谷戸(やと)の奥深く、苔むした石段が続く先に、有栖川宗旦(ありすがわ そうたん)の住まいはあった。陶芸家であり、美食家。世間はそのように彼をもてはやすが、宗旦自身にとって、己の肩書などどうでもよかった。価値は己の眼と舌、そして土を捏ねる指先のみが知る。それ以外の評価は、風に舞う落ち葉よりも軽い。
梅雨の晴れ間、強い日差しが工房の土間に差し込んでいた。宗旦は、鬼のような集中力でろくろと向き合っている。粘土の塊は、彼の意志に応じて形を変え、まさに大ぶりの徳利として立ち上がろうとしていた。その刹那、内弟子の声が静寂を破った。
「師匠、お孫様の咲様と、お連れの男性がお見えになっております」
「……客か。今日は誰とも会う約束はない。帰山を伝えよ」
宗旦の指は、粘土から離れない。宇宙の中心を探るような、張り詰めた時間が流れる。
「それが、どうしても、と……。ご結婚のご挨拶だそうで」
「咲が?……面倒なものを連れてきおって」
宗旦は大きく息を吐き、ろくろの回転を止めた。その名を聞くと、彼の頑迷な心がわずかに揺らぐ。早くに両親を亡くした孫娘の咲。亡き妻と共に、手塩にかけて育てた唯一の血縁だった。
「……わかった。母屋に通しておけ」
濡れた手を無造作におが屑で拭い、宗旦は重い腰を上げた。その立ち姿には、長年の鍛錬によって培われた武人にも似た風格が漂っていた。
母屋の座敷では、咲とその婚約者である間宮健太が、緊張した面持ちで正座していた。
「じいじ、突然ごめんなさい」
咲が努めて明るい声で言う。その隣で、健太は畳に額が擦れるほど深く頭を下げた。
「は、初めまして! 間宮健太と申します! この度、咲さんと結婚のお許しをいただきたく……!」
「声が大きい。鼓膜が破れるわ」
宗旦は健太を一瞥もせず、縁側に腰を下ろした。庭の楓の若葉が、日の光を透かして鮮やかな緑に輝いている。
「……まあ、立て。昼餉はまだであろう」
「え?」
「腹が減っておるかと聞いている。返事をせい、朴念仁」
「は、はい! 誠に、減っております!」
健太の大声に、宗旦は顔をしかめた。咲が呆れたように健太の脇腹を小突いている。宗旦は小さく鼻を鳴らし、台所へと向かった。
食卓に並んだのは、地味だが、一品一品が尋常ならざる気を放つ料理だった。
三浦の畑で今朝採れたというトマトは、ただ冷やして粗塩を振っただけ。腰越の港で揚がったばかりの太刀魚は、美しい銀皮をまとったまま塩焼きにされ、宗旦が自ら育てた酢橘が添えられている。そして、土鍋の蓋を取れば、湯気と共に炊きたての米の甘く芳醇な香りが部屋中に満ちた。
だが、健太の心を奪ったのは、料理以上に、それらが盛られた器であった。
歪な形に、灰色の釉薬がまだらにかかった大皿。深い森の湖のような緑色をした織部の小鉢。そして、飯を盛られた茶碗は、一見すると何の変哲もないが、手に取ると驚くほど軽く、指に吸い付くように馴染んだ。
「さあ、食え。語らうのは腹を満たしてからだ」
宗旦に促され、三人は静かに箸を取った。
健太は、緊張で味など分かりはしないだろうと思っていた。しかし、太刀魚の塩焼きを一口食べ、その考えは吹き飛んだ。ぱりっと焼かれた皮の香ばしさ、そしてその下にある、ふっくらと甘い身。絶妙な塩加減が、魚本来の旨味を極限まで引き出している。
「……おいしい……」
無意識に漏れた声に、宗旦がちらりと目を向けた。
「当たり前だ。わしが焼いた魚だ」
「いえ、もちろん料理もそうなのですが、この器が……素晴らしいです」
健太は、手に持った飯茶碗を見つめた。「この器、少し歪んでいるのに、なぜかとても持ちやすい。完璧じゃないのに、心地いいんです」
宗旦の目が、初めて値踏みするように健太を捉えた。
「ほう。少しは見る眼があるようだな」
彼は自らの猪口に冷酒を注ぎながら言った。
「その茶碗はな、わざと重心をずらし、口縁を歪ませてある。完璧な円、完璧な均衡など、死んだも同然よ。不均衡だからこそ、持つ者の手が、無意識に一番しっくりくる場所を探し、対話し、馴染んでいく。不完全さこそが、生命の証じゃ」
その言葉は、まるで健太と咲の関係を言い表しているかのようだった。健太は慎重で、物事を深く考えるタイプ。対して咲は直感的で、太陽のように明るく、時に嵐のように激しい。正反対の二人。だからこそ惹かれ合ったが、その違いに戸惑い、不安になることも少なくなかった。
「じいじ」
咲が口を開いた。「今日、結婚の挨拶に伺ったのは本当よ。許してくれる?」
宗旦は、酒をくいと飲み干し、大きなため息をついた。
「……許すも許さぬも、お前たちが決めたことだ」
「でも、じいじに祝福してほしいの」
「祝福、か」
宗旦は、二人の顔を交互にじろりと睨んだ。咲の真っ直ぐな瞳。健太の誠実だが、どこか自信なさげな眼差し。
「お前たち、なぜ互いを選んだか、本当の意味で分かっておるのか」
「え?」
「なぜこの男なのだ、咲。なぜこの女なのだ、健太」
「好きだからです。一緒にいて、自分らしくいられるから……」
咲が答える。健太も力強く頷いた。
「咲さんは、僕にはないものをたくさん持っています。彼女のそばにいると、僕の世界が広がるんです」
「ふん、青臭いことを」
宗旦は、食卓の真ん中に置かれた備前の大鉢を顎でしゃくった。
「あの鉢を見ろ。あれは、わしが若い頃、会心の作だと思って焼いたものだ。最高の土を使い、最高の焼き締めを得た。完璧な出来だ。……そして、今ではただの飾り物になっておる」
「どうしてですか? こんなに力強いのに」
健太が尋ねる。
「力強すぎるのだ。完璧すぎて、何を盛っても料理が負ける。器が己を主張しすぎて、肝心の料理の味を殺してしまう。完璧な調和とは、停滞であり、死だ。何の驚きも、発見もない」
宗旦の視線が、再び二人に突き刺さった。その目は、二人の魂の奥底まで見通すようだった。
「世の人間は、皆、勘違いしておる。結婚相手というものをな。人は、自分と最も相性の良い相手と結ばれるべきだと信じ込んでいる。価値観が同じ、趣味が同じ、笑うツボが同じ。馬鹿を言え。そんなものは、ただの馴れ合い、傷の舐め合いにすぎん。楽なだけの関係に、何の成長があるというのだ」
宗旦の言葉に、咲と健太は戸惑いの表情で顔を見合わせた。
「結婚とはな、自分と最も相性の悪い相手と添い遂げるのが道理なのじゃ」
「……え? 相性が、悪い、相手?」
健太が、おそるおそる反芻した。
「そうだ。陶芸とは何か。土という気まぐれな自然を、人間の意志で捏ね上げ、火という制御不能な力にその身を委ねる行為だ。土と火、これほど相性の悪いものがあるか? 火は土から水分を奪い、収縮させ、時に爆ぜさせ、無慈悲に歪ませる。だが、その相克の果てに初めて、土は硬く焼き締まり、二度と元の土には戻れぬ『陶器』という新たな存在に生まれ変わる。火に焼かれぬ粘土など、ただの泥塊にすぎん」
彼は、自作の徳利から、また酒を猪口に注いだ。その猪口は、少し歪んでいて、口縁には小さな窯傷があった。だが、宗旦はそれを景色として慈しんでいる。
「人間も同じことよ。自分にとって耳の痛いことを言う相手、自分の常識を根底から覆す相手、自分のやり方をことごとく否定する相手。それこそが、お前を焼き締め、磨き上げる『火』であり『砥石』なのだ。自分と瓜二つの人間と暮らしてどうする。自分の醜い部分を、毎日鏡で見せつけられているようなものだ。反発し、理解に苦しみ、時には憎しみさえ覚える。だが、その相手と共に生きることを諦めぬ時、人は初めて成長する。その苦難の道のりこそが修行であり、我々がこの世に生を受けてきた意味そのものなのじゃ」
宗旦の言葉は、雷となって健太の心を撃った。
咲との違い。それは、乗り越えるべき障害ではなく、むしろ自分を成長させてくれる天からの贈り物だったのかもしれない。咲の直感は、自分の理屈っぽさを打ち破ってくれる。自分の慎重さは、咲の猪突猛進にブレーキをかけてくれる。二人は、不揃いで不完全な、一対の器だったのだ。
「……僕たち、しょっちゅう喧嘩します」健太がぽつりと言った。「本当に、ささいなことで」
「結構なことだ」宗旦は満足げに頷いた。「喧嘩をせぬ夫婦など、互いへの関心を失った証拠よ。ぶつかり合い、削り合い、角を取り合い、そうして歳月を経て、ようやく互いの手に馴染む歪な器になる。それが夫婦というものだ」
咲は、黙って祖父の話に聞き入っていた。いつもは反発ばかりする彼女の瞳が、何かを堪えるように潤んでいるのが見えた。
食事が終わり、片付けも済んだ頃、咲が切り出した。
「じいじ。実は、健太さんからもらう婚約の記念品を、まだ決めてなくて。ありきたりのものじゃなくて、何か、私たちにとって意味のあるものがいいなって」
「ふん。くだらんことに悩むものよ」
宗旦はそう言いながらも、おもろげに立ち上がり、書斎の方へ消えた。やがて戻ってきた彼の手には、黒いベルベットの小さなケースがあった。
「……まあ、見てみるがいい」
宗旦がケースを開くと、その中に、一つのペンダントトップが静かに横たわっていた。
それは、K18の温かい金色を台座にした、ダイヤモンドのペンダントだった。
滑らかなバチカンの下から、滝が流れ落ちるように、大きさの異なるダイヤモンドが連なっている。一番上には中くらいのラウンドブリリアントカットのダイヤモンドが四本の爪で留められ、その下へ、三つの小さなダイヤモンドが、徐々にサイズを小さくしながら美しいグラデーションを描いている。そして、その流れ着く先には、ひときわ強い光を放つ、三角形のダイヤモンドがしなやかに揺れていた。
「……きれい……」
咲が、ため息混じりに呟いた。
健太もまた、言葉を失っていた。それは単なる宝飾品ではなかった。一つの完結した芸術品が持つ、静かな、しかし圧倒的な存在感を放っていた。
「座れ」
宗旦は、二人を再び座らせると、自らも腰を下ろし、そのペンダントを指先でそっと持ち上げた。陽の光を受けて、ダイヤモンドは虹色のファイアを四方八方に散らした。
「これはな、古い時代の舶来品ではない。今を生きる、日本の若い職人が作ったものだ。懇意にしている銀座の宝飾店の若旦那が、『面白いものが入りました』と先日持ってきた」
宗旦の「セールストーク」が始まった。それは、商品の説明というより、彼の美学と人生哲学が凝縮された、一つの講義だった。
「まず、このデザインを見ろ。上から下へ、大きさの違う石が連なっておる。使われているダイヤモンドは、全部で0.57カラット。一つの大粒の石で威張るような、無粋な作りではない。大きさも輝きも違う石たちが、互いを引き立て合い、支え合って、この一つの優美な流れ、一つの調和した輝きを創り出している。夫婦というのも、これと同じことよ。どちらか一方が偉いわけではない。それぞれが自分の場所で輝き、時に相手を支え、時に相手に寄りかかることで、初めて『家庭』という美しい形になるのだ。この合計0.57カラットという数字は、二人が一つになるという誓いの象徴じゃ」
彼はペンダントを揺らし、光の戯れを二人に示した。
「そして、それぞれの石の留め方。プロングセッティング、爪留めという。光を最大限に取り込むための、最も誠実な技法だ。石を隠さず、そのありのままの姿をさらけ出す。見栄や虚飾で固めるのではなく、裸の魂で勝負する。そういう、作り手の潔い気概が、この仕事にはある」
「だがな、健太とやら」
宗旦は、一番下で揺れる三角形のダイヤモンドを指した。
「この石を、よっく見てみろ。何か見えるか?」
健太は目を凝らした。鋭い三角形のファセットの奥、その中心近くに、ごく微かな、霧のような影が見える。
「……なにか、小さな……しるしのようなものが……」
「そうだ。**インクルージョン、内包物よ。**地球が何億年もかけてこの石を育む中で、閉じ込められた太古の記憶だ。そう、この石は完璧ではない。無傷ではない。だが、それがどうした」
宗旦の口調に、熱がこもる。
「人間誰しも、心に傷や曇りの一つや二つ、抱えて生きている。お前も、咲も、このわしもな。完璧な人間など、この世のどこにもおらん。この石のインクルージョンは、その人間の不完全さの証であり、同時に、この石が何億年という途方もない時間をかけて地球に育まれた、唯一無二の存在であるという刻印なのだ。この『しるし』ごと、この石の個性として愛せるか? 相手の欠点や弱さ、過去の傷を、それごと抱きしめる覚悟が、お前にはあるか? それができぬようなら、結婚など、今すぐやめてしまえ」
健太は、息を飲んだ。そのインクルージョンは、まるで自分自身の弱さや欠点の象徴のように思えた。
「この先端の石は、トリリアントカットという。三つの角を持つ三角形。この三つの角はな、『夫』と『妻』、そして二人がこれから共に乗り越えていく『苦難』そのものよ。病、困窮、すれ違い。様々な苦難という鋭い角から目をそむけず、正面から受け止め、己の輝きの一部としてしまう。この不完全なダイヤモンドは、そのことを我々に教えてくれる」
「古き良きものを尊ぶのも結構だが、わしは、今この時代に生まれ、未来を創ろうとする若い才能をこそ評価したい。このペンダントには、そういう新しい時代の息吹がある。古い慣習に縛られるな。お前たち自身のやり方で、新しい夫婦の形を、新しい家庭を創っていくのだ。このペンダントは、そんな始まりを告げるにふさわしい」
宗旦は、ふっと表情を和らげた。
「……もし、あいつが、わしの妻が生きていたら、このペンダントを見て何と言っただろうかな」
彼は遠い目をして呟いた。
「あいつは、こういうきらびやかなものを好まぬ女でな。『そんなものより、あなたが焼いた不格好な湯呑のほうがずっといい』と笑うような奴だった。わしとは、何から何まで正反対。味の好みも、金の使い方も、人の付き合い方も、まるで違った。まさに、わしにとって最も相性の悪い女だった」
彼の声には、深い愛情が滲んでいた。
「だが、あいつがいたからこそ、わしはろくろを挽き続けられた。あいつという『火』があったからこそ、わしはただの粘土ではなく、『有栖川宗旦』という陶芸家になれたのだ。最高の修行相手であり、最高の砥石だった。……あいつはきっと、このペンダントのインクルージョンを見て、『あら、私みたいに、あんたにも欠点があるのねえ』と、この石に話しかけたに違いない」
宗旦は、ケースを健太の前に静かに置いた。
「健太。お前が、このペンダントに込められた意味を、わしの戯言を、真に理解したというのなら、これを譲ろう。もちろん、相応の対価は払ってもらう。だが、それは金の問題ではない。お前が、咲を、自分にとっての最高の『砥石』として、その欠点も弱さも丸ごと愛し、生涯をかけて磨き合う覚悟があるというのなら、これ以上にふさわしい誓いの証はないだろう」
健太は、震える手でケースを受け取った。ずしり、と感じたのは、1.19グラムという物理的な重さではなかった。宗旦の妻への想い、夫婦というものの深遠な哲学、そして、自分たち二人に託された未来の重みだった。
彼は、咲の方を向いた。咲の瞳は、ダイヤモンドの輝きにも負けないほど、きらきらと潤んでいた。
「咲さん」
健太の声は、もう震えていなかった。
「僕は、君と喧嘩がしたい。君の知らないところ、僕の知らないところ、これからたくさんぶつかると思う。君の強さも、そして弱さも、君が隠している傷も、全部僕に預けてほしい。このペンダントの、あの小さな『しるし』のように、それも全部含めて君なんだ。僕は、そんな不完全で、どうしようもなく愛おしい君を、一生かけて愛したい。僕と、結婚してください」
咲は、言葉にならず、ただ何度も頷いた。涙が頬を伝い、畳の上にぽたりと落ちた。
宗旦は、満足そうに、しかし少し寂しそうに、その光景を眺めていた。
健太は、ペンダントトップをケースから取り出し、咲の首にかけてやった。K18の金が咲の肌に温かく馴染み、トリリアントカットのダイヤモンドが彼女の鎖骨の間で、まるで祝福の光のように揺れた。光輝燦然たるその輝きは、まさに金剛不壊、決して壊れることのない二人の誓いの象Mに見えた。
その日の夕暮れ、咲と健太が帰った後、有栖川宗旦は一人、縁側で酒を飲んでいた。手には、あの窯傷のある、歪んだ猪口。
彼は、昼間、健太が座っていた場所に視線をやった。
「……ふん。少しは骨のある男だったわい」
彼は、夜空に浮かび始めた一番星に向かって、独りごちた。
「おい、聞いたか。お前そっくりの、少々難ありの石だそうだ。だが、あれでいい。あれがいいのだ」
猪口に残った最後の酒を、彼はゆっくりと飲み干した。その口元には、かすかな笑みが浮かんでいた。
咲の胸元で輝くあのペンダントは、これから長い年月をかけて、二人の物語をその内に刻み込んでいくだろう。喜びも、悲しみも、喧嘩の後の気まずい沈黙も、和解の涙も。そのすべてをダイヤモンドのファセットに反射させ、金の温かみで包み込みながら。
不揃いで、不完全で、だからこそ生命力に満ちた、世界でたった一つの美しい器のように。二人の人生は、そうしてゆっくりと焼き締められ、かけがえのない景色を宿していくのだ。
谷戸の闇に、ホトトギスの声が響き渡った。それはまるで、新たな門出と、これから始まる長き修行の道のりを、祝福しているかのようだった。

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