伝説の英語教育者・多田正行先生による不朽の英文解釈参考書三部作フルセットです。

多田先生は東大仏文科卒。
学生時代は、その明晰ぶりから東大教授に代講を頼まれるほどでした。

その後、翻訳家などを経て、東大受験生が知を磨いた通添オリオンで指導を開始。
その過程で、受験英語なる偏狭への失望感から、言語として英語を探究する方法論を構築されたのです。
英語学習を異なる言語文化の衝突する「論理思考の訓練の場」と割り切り、解析的アプローチを以て対象に迫る事。
この指針を基に、厳選した英文と強烈な個性光る解説が本シリーズの端緒となりました。
添削指導の経験が、受験生の弱点や盲点を徹底分析した唯一無二の参考書として結実したのです。

第1巻は1973年、第2巻は1980年、添削会員向けのみで発刊。
章立ては以下の如く、通常の参考書とは趣を異にしていました。

【第1巻】
第1章 因数分解型Structure
第2章 名詞化表現の解析
第3章 対照(CONTRAST)と照応(SEQUENCE)
【第2巻】
第4章 紋切り型公式主義に拠る敗北
第5章 多義語の語義決定
第6章 Set Phraseの変化

一般書店では流通しなかったものの、偏差値90を目指す参考書として、知る人ぞ知る英文解釈のバイブルに。
伊藤和夫「英文解釈教室」を道場剣法、それを超越する本書を暗殺剣法に喩える向きもありました。
そうして、全国の難関大受験生はもとより、東大京大などの大学生、更には著名な大学教授や英文学者まで、幅広いファンを魅了。
第3巻完結編も、以下の如く構想されていました。

【第3巻】
第7章 癒着と遊離
第8章 省略の発見と復元
第9章 比喩の補足
第10章 比喩と縁語
第11章 象徴的表現と包括語句
第12章 VOICEの補足
第13章 否定と肯定

しかし、その発刊は、数多くの要望にも関わらず、多田先生の健康状態から不可能とされてきました。

時に2010年。
多田先生の弟子を自任する三村浩一先生と育文社社長の尽力により、事態が動き出します。
遺された旬報が、上記カリキュラムに基づき編集整理されたのです。

そして2014年、多くのファンが諦めかけていた第3巻が発刊されました
40年の時を経て、遂に伝説のシリーズは完結。
それは多田先生が亡くなられた翌年のことでした。

新品未使用です。